活字FREAK 別館

    ただの本好きによる読書感想文ブログ。長らく放置してしまいました・・・

SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
プロフィール

umi

ミステリーが好き。
現在HPからデータを移行中。

【敬愛する作家10】
池井戸潤氏、歌野晶午氏、奥田英朗氏、
北山猛邦氏、倉知淳氏、貫井徳郎氏、
東川篤哉氏、深水黎一郎氏、道尾秀介氏、
米澤穂信氏


umiさんの読書メーター
QRコード
QR
「新月譚」貫井 徳郎
Category: 貫井 徳郎  Tags: 2012刊行  

 



単行本:2012/4(文藝春秋)

★★★★☆

■あらすじ■

八年前に突然絶筆した作家・咲良怜花は、若い編集者の熱心な復活のアプローチに、自らの半生を語り始める。
そこで明かされたのは、ある男性との凄絶な恋愛の顛末だった―。

■感想■

貫井氏の作品ということでミステリーかと思ったら何と純愛小説。
本来ならドロドロした俗っぽい愛憎劇となりそうな内容ですが、ある種の清々しさと美しさすら感じる一冊に仕上がっていることに驚きを隠せません。
断筆したベストセラー作家の半生を紐解きながら、「あぁ、私には理解できないかもな」という予感がしていました。
もしかすると嫌悪感を抱いてしまうのではないかと。
読み続けるうちにそれは杞憂に終わり、彼女のとった行動にもどかしさを感じながらも決して否定的な気持ちにはならなかった。
共感はできない、けれど彼女の情念が自分の中に入ってくるかのような感覚を味わいました。
これほどまでに想える相手に出会えて彼女に悔いはなかったのだと思う。
私はとても好きな作品。

こんな男は、もう現れない。今後知り合う男に。わたしはすべてを明かす気などないのだから。

「大公女殿下に捧げる密室」芦辺 拓
Category: 芦辺 拓  Tags: 2012刊行  

 



単行本:2012/3(祥伝社)

★★★☆☆

■あらすじ■

「お力を貸してください―」
昔なじみの鞠岡未来生から助けを求められ、欧州の小国“ヴェルデンツ大公国”に向かった弁護士兼探偵の森江春策。
なぜか到着するや大歓迎を受け、大公ヘルマン七世から晩餐の席で解決を頼みたい重要案件があると告げられる。
そこへ彼の妹、大公女ヴィルヘルミーネが飛び込んできた。
宮殿内の通信塔で殺人事件が起こったのだ。
二人が射殺され、森江たちが駆けつけるまで誰も出てくる者はいなかった。
塔内にいた未来生が最有力容疑者になるが、凶器は現場にない。
勅任捜査官となった森江は解決に乗り出すが、行く先々でおてんば大公女に振り回されるのだった…。

■感想■

芦辺氏までまさかこういう表紙になるとは思わなかった(笑)
ストーリーはがちがちの本格ミステリー。
最後の最後の真実までキレイに流れて着地するという感じです。
ヨーロッパの仮想国、ヴェルデンツ大公国の世界観がかなりよく出来ていて、これだけで終わらせるのが勿体無いくらい。
ただプリンセスがちょっと中途半端だったかなぁ。

やれやれ、思えば、今回ほど恐ろしい体験はなかったといえるかもしれない。

「ルーズヴェルト・ゲーム」池井戸 潤
Category: 池井戸 潤  Tags: 2012刊行  

 



単行本:2012/2(講談社)

★★★★☆

■あらすじ■

「一番おもしろい試合は、8対7だ」
野球を愛したルーズヴェルト大統領は、そう語った。
監督に見捨てられ、主力選手をも失ったかつての名門、青島製作所野球部。
創部以来の危機に、野球部長の三上が招いたのは、挫折を経験したひとりの男だった。
一方、社長に抜擢されて間もない細川は、折しもの不況に立ち向かうため、聖域なきリストラを命じる。
廃部か存続か。
繁栄か衰退か。
人生を賭した男達の戦いがここに始まる。

■感想■

社会人野球に限らず、不況の煽りによって伝統があっても廃部にならざるを得ないスポーツはたくさんある。
利益か、社会貢献か、はたまたイズムか。
本当に難しい問題だよなぁと感じながら読みました。
そして物言う株主が多くなった中で、最後に引用した言葉が果たしてどのくらい伝わるものなんですかね。
じゃあ株式公開しなければいい、そう言われるのが関の山…。
でもその考えは巡り巡って経済全体にしわ寄せがくると私は思います。
最後はちょっとできすぎでしたが、さすが池井戸氏といったレベルの高い一冊でした。

会社はみなさん株主のためにある。それはそうでしょう。でも一方で、そこで働く従業員のためにも存在しています。

「高原のフーダニット」有栖川 有栖
Category: 有栖川 有栖  Tags: 2012刊行  

 



単行本:2012/3(徳間書店)

★★★☆☆

■あらすじ■

「オノコロ島ラプソディ」容疑者には鉄壁のアリバイ。
国産み神話の淡路島で、火村を待ち受ける奇天烈な事件。
「ミステリ夢十夜」有栖川有栖は近ごろ怪夢を見る。
火村と彼を次々と不可思議が襲う夢だ。今夜もきっと…。
「高原のフーダニット」弟を手にかけました…美しい高原を朱に染めた双子殺人事件は、一本の電話から始まった。
透徹したロジックで犯人に迫る、これぞ本格=フーダニットの陶酔。
ミステリ界の名手、初の中編集。

■感想■

火村英生シリーズ。
有栖川氏の作品の中でも火村シリーズは安定感が抜群だと思っていて、だからこそハードルが高くなってしまうところがあるのか、少しだけ何か足りないものを感じてしまいました。
グッとくるポイントが無かったからかなぁ。
火村シリーズは中編よりも短編、短編よりも長編が私は好きなようです。
ただ「ミステリ夢十夜」のような試みは非常に面白いと思う。
言わずもがな夏目漱石「夢十夜」のミステリー版。
質の良いミステリーを読めて幸せな気分になりました。

探偵というのは、死んだ人間の声が聴ける人間のことかもしれません

「タブーの正体!-マスコミが『あのこと』に触れない理由」川端 幹人
Category: ビジネス  Tags: 2012刊行  

 



新書:2012/1(筑摩書房)

★★★★☆

■内容■

どれだけ重大な事実であろうと、マスコミが口を閉ざしてしまうことがある。
大物政治家の不正疑惑、大手企業が引き起こした不祥事、有名タレントの薬物使用疑惑…。
「報道の自由」を掲げながらも、新聞やテレビ、出版各社が、過剰な自主規制に走ってしまうのはなぜか?
『噂の眞相』副編集長時代に右翼から襲撃を受けた経験を持つフリージャーナリストが、闇に葬られた数々の実例を取り上げながら、ネット時代の今もメディア・タブーが増殖し続けるメカニズムに鋭く迫る。

■感想■

これは読んで良かったと思える一冊。
メディアにおけるタブーについては割りとよく知られている問題だと思いますが、実際にどのようなものがあるのか具体的に書かれています。
問題はタブーの存在そのもの以上に何故タブーとなったのかという理由の消失だと筆者は説いています。
確かに理由が何なのか理解しないまま放置すると、いつのまにかそれは絶対的な存在になってしまう。
宗教や芸能界など多岐にわたる内容で、私は特に原発に関連する記事が大変興味深かったです。
何故東京電力へのバッシングが生ぬるいのか、これを読めば理解が深まると思います。
別にこの本が全てだと思う必要は無く、ただ自分がいかに統制された情報の中にいるのかということを知ることに大きな意味があるのでは。

要するに、メディアと電力業界の関係は“癒着”といった生易しいレベルではなく、完全に一体なのだ。